前に出てきた句や文を指すのにitを使う場合とthatを使う場合の両方があります。
このthatとitの使い分け、日本人にとっては相当に難しいですよね。
私自身、何人かのネイティブに違いを聞きましたがネイティブにより説明の仕方が異なり混乱は増すばかりです。いくつかの文法書を見ても説明の仕方が異なります。
そこで今回は英文法書による説明の仕方の違いを見ながら共通点を探ることにします。
実践ロイヤル英文法の説明
前に出てきた特定のものを指すときは it
前に出てきた特定のものを表す時はitを使います。このときはthisやthatの指示代名詞は使えません。
例文
I can't find today's newspaper. Do you know where it is? 「今日の新聞が見つからない。どこにあるか知っていますか?」
例文参照:実践ロイヤル英文法
thatも前の文や文の一部を指すことができますが、上記のように「今日の新聞」という具体的なモノを指す時はitを使います。
相手の言葉を受けるときは that
相手の言った言葉をすぐ受けて、「それは・・・」という場合はthatを使います。
例文
「ひと休みしない?」と相手が言ったことに対して「それはいい考えだね」という場合はthatを使います。
参考
私は以前このような場面でIt's a good idea. というクセがついていて、そのたびにネイティブに直されていました。
このような使い方として他に次のようなものがあります。
- That's too bad. 「それはお気の毒に」
- That's right. 「その通りだね」
- That sounds good. 「それはいいね」
一般的なことは it / 具体的なことはthat
例文
I like having wine with dinner, too. I think it is a wonderful custom. 「私も夕食にワインを合わせていただくのが好きです。すばらしい習慣だと思います」
It's already 8:15! That means I'll be late again today. 「もう8時15分だ!ということは今日もまた遅刻だな」
例文参照:実践ロイヤル英文法
1つ目の例文は「夕食にワインを合わせる」という習慣については一般的に述べているのでitが適切です。
それに対して2つ目の例文は今日の特定のことを述べているのでthatが適切です。
英語語法レファレンスの説明
中立のit / 感情のthat
例文
<例文1>
A: My cousin finally gave up smoking. 「いとこがとうとうタバコをやめたよ」
B: I'm glad to hear it. 「それはよかったね」
<例文2>
A: I finally gave up smoking. 「とうとうタバコをやめたよ」
B: I'm glad to hear that. 「それはよかったじゃないか」
例文参照:英語語法レファレンス
例文1の場合、第三者のいとこの話です。そのため聞き手は感情を込めず(中立の気持ち)itで受けています。例文2は話し手自身の話です。そのため聞き手は感情を込めてthatで受けています。
あるネイティブスピーカーの説明
自分が言ったことはit / 相手が言ったことはthat
例文
<例文1>
I bought this book, because I think it's necessary for my homework. 「この本買ったんだ。宿題に必要だと思うから」
<例文2>
A: I'll drive you home. 「家まで車で送るよ」
B: That's not necessary.「それは必要ないよ」
私の知り合いのネイティブスピーカーは自分の言ったことはit、相手が言ったことはthatで受けると教えてくれました。
これはシンプルでわかりやすい説明だと思いました。
まとめ
なかなかこれぞという説明が難しいですが、個人的には私の知り合いのネイティブスピーカーが教えてくれてた「自分が話したことはit、相手が話したことはthat」が一番しっくりします。
少なくても相手が言ったことをthatで受けておけば、英語語法レファレンスの説明にある「感情面」も相手に伝えることができます。