forgetの使い方で混乱しやすいポイントが2つあります。1つがforgetとforgotの時制の使い分けです。もう1つがforget toとforget …ingの使い分けです。ここでforgetの使い方を完璧にマスターしましょう。
使い分け1:forgetとforgot
まず最初にマスターしたいのが現在形のforgetと過去形のforgotの使い分けです。動作動詞であれば現在形と過去形の使い分けは簡単ですが、forgetは状態動詞のため、使い分けに戸惑うことがあるかもしれません。
forget「~を忘れてしまっている/思い出せない」
forgetは「忘れる」と訳するよりも「~を忘れてしまっている/思い出せない」とするほうがしっくりきます。
forgetは状態動詞です。forget =「忘れる」という日本語訳だと動作動詞と勘違いしやすいです。「~を忘れてしまっている(状態)」と考えるとわかりやすくなります。
例文
I forget her name.「彼女の名前を忘れてしまっている/思い出せない」
上記例文は以前は覚えていたのだけど、今は忘れてしまっているという状態です。昔の知人の名前を思い出そうとして思い出せず「彼女の名前を忘れてしまったなあ」というような時です。※日本語訳だと過去形に見えますが、今も忘れている状態ですので現在形のforgetを使います。
よく知っている人なのに、突発的に名前を忘れてしまったというような場合は現在完了形を使って次のように表現します。
I've forgotten her name!「彼女の名前を忘れてしまった/思い出せない!」
※I'veはI haveの省略形
forgot「~を忘れてしまっていた」
過去形のforgotは過去の時点において「忘れていた」状態の時に使います。今の時点では「忘れていない(思い出している)」状態です。
例文
I forgot I lent you 10,000 yen「あなたに1万円貸していたのを忘れてたよ」
※貸していたのは忘れていた時点より過去なので、過去完了形を使ってI forgot I'd lent you 10,000 yen.とすることもできますが、アメリカ英語ではこのような場合、単純過去形を使うのが一般的です。I'dはI hadの省略形です。
上記例文でわかるように、forgotを使った場合、忘れていたのは過去のことです。今は思い出している状態です。
その他、過去形のforgotの使い方の典型例として、次のようなものがあります。
例文
A: Did you bring me the book I lent you the other day?「この前貸した本持ってきてくれた?」
B: Sorry! I forgot. 「ごめん!忘れちゃった」
forgetという動詞はthinkやimagineなどの動詞と同様に心理状態を表現する動詞です。相手に言われて「忘れたことに気がついた=忘れた状態が終わった」ので過去形を使います。
使い分け2:forget toとforget …ing
基本的に、to不定詞は未来のことを、…ing(動名詞)は実際の動作を表現する性質があります。そのためforget toは「~することを」forget …ingは「~したことを」という意味になります。実際に例文で確認してみましょう。
forget to「~することを忘れる」
例文
Don't forget to turn off the gas before going out.「出かける前にガスを消すことを忘れないように」
I forgot to lock the door. 「ドアをロックするのを忘れた」
まだしていないことはto不定詞を使います。
比較
上記の2つ目の例文を動名詞にすると I forgot locking the door. 「ドアにロックしたことを忘れた」となります。
forget …ing「~したことを忘れる」
例文
I'll never forget seeing you.「あなたに会ったことは決して忘れないでしょう」
すでにしたことは動名詞を使います。この形は例文のように未来形 + 否定形で使うことが多いです。
<おまけ編1>他動詞のforgetと自動詞のforgetの違い
ここからはおまけ編です。知らなくてもさほど問題はありません。
「~を忘れる」という使い方は他動詞にも自動詞にもあります。この2つの違いを例文で比較してみましょう。
直接的か間接的か
対象物そのものを忘れるというような場合は他動詞を使います。
例文
I forget his name.「彼の名前を忘れてしまった」
それに対して、対象物そのものではない場合は自動詞を使います。
例文
I'll never forget about today. 「今日のことは決して忘れません」
上記の例では「今日あった出来事や体験」を意味しているので、他動詞ではなく自動詞で含みを持たせています。
気持ちの強さが違う
他動詞でも自動詞でもどちらでもOKなケースがあります。例えば「あなたのことは忘れないよ」というような場合です。
例文
I won't forget you.「君の存在は忘れないよ」
I won't forget about you.「君との思い出は忘れないよ」
わかりやすくするためにニュアンスを意訳しています。他動詞と自動詞で同じ意味がある場合、他動詞のほうが直接的です。I wont' forget you. のほうが気持ちが強い感じがします。
恋人との別れなら"I won't forget you." 友人との別れなら"I won't forget about you." というところでしょうか。
参考文献
<おまけ編2>forgetとleaveの違い
おまけ知識です。
forget :<物>を持ってくるのを忘れる
物を持ってくるのを忘れた場合はforgetを使います。
例文
I forgot my umbrella.「傘を持ってくるのを忘れた」
I forgot to bring my umbrella.からto bringが省略された形と考えるとわかりやすいでしょう。
leave :<物>を置き忘れる
場所が示されて、置き忘れた場合は leave を使います。
例文
I left my umbrella on the train. 「電車に傘を置き忘れてしまった」
※leftはleaveの過去形
上記の例文ではon the trainと忘れた場所が示されています。
<おまけ編3>forgetを使った便利な表現
「忘れていたら言ってください」 Don't let me forget to ~
Don't let me forget to call him later.「後で彼に電話するのを忘れていたら言ってください」